嘉陵サイドカー試乗記

嘉陵サイドカー試乗記の続きです。まずは横須賀から一般道走行です。国道20号線(甲州街道)を山梨方面へ200kmほど走ります。走り出してすぐ感じるのはハンドリングの素直さと安定の良さです。フロントフォークはバイクと同じテレスコピックですが、ステアリングヘッドの角度よりフォークの角度の方が寝ているサイドカー専用設計となっているため、ハンドルは軽く適度に粘りがあります。クッションも柔らかくて腰があり、ステアリングダンパーが無くてもハンドルシミー(ブレ)はまったくありません。

さらに直進安定性も素晴らしく、ギャップ通過時のハンドルブレも少なく一発で復元します。このあたりを見るとメーカーはバイクに側車を付けたサイドカーではなく、コンプリート車として本気で開発されたことが分かります。側輪をみると通常のサイドカーよりリードが長くボート(舟)もかなり前よりとなっています。体重85kgの息子を乗せて走りましたが、ふつうはボデイを前に出すとハンドルが重くなりシミーが発生するものですがこれはそういうことがありませんでした。実に良くできたサイドカーと思いました。

相模湖付近から国道20号甲州街道に入りました。山間部を走るこの道は道幅がせまくてタイトなコーナーが連続しています。全幅1580mm、トレッド1080mmと細身のサイドカー、しかもパッセンジャーや重し無しなので右コーナーでカーが浮くことを覚悟していましたが良い意味であてが外れ、ほとんど浮くことはありませんでした。これはフロントフォークと連動して側輪が舵を切る仕掛けが効いているからと思われます。ただし、浮かないのも国道レベルの道の話で、よりきつい県道レベルのコーナーではさすがに側輪が浮き上がるので要注意です。

エンジンはホンダによく似た水冷単気筒589ccで馬力は38.7PSと発表されています。最初は低速トルクで走るエンジンと思っていましたが4速3千回転ではややかったるく、4千、5千と回してやるとキビキビ走るタイプです。心配した振動は6千回転でも大きな振動はなく、全回転域で心地よい振動感を味わえます。帰り道の高速道路では90kmから100kmで楽に巡航することができました。最高速度はカタログ表記の120kmは可能と感じました。

新車で走行750kmを過ぎたのでオイルを交換しました。排出したオイルはまったく綺麗なもので、GSX/R1000の初回オイル交換と同じ印象を持ちました。このメーカーはホンダのエンジンを製作する会社なので工作精度も高いと感じました。

鉄製のボデイや頑丈なフレームワークなどいかにも丈夫そうな造りの嘉陵サイドカーですが、それはスポークの太さにも現れています。線径はおそらく5ミリはあろうかという太いもので、手持ちのニップルレンチではニップルを締めることができません。小型のモンキーレンチで増し締めをしました。恐ろしいほどの頑丈さです。

ブレーキはフットブレーキ、右手ブレーキとも側輪ブレーキと連動しており、急制動時にも真っ直ぐ停止するのでパニックブレーキも安心です。フロントブレーキはリヤよりも強力に効きます。

リバースギヤはミッションに組み込まれています。使い方はニュートラルにしてメインスイッチの左にあるレバーを上げて、シフトペダルを下げればリバースに入ります。後はクラッチとアクセルで坂道でもドンドン加速します。リバースがあると無いとは大違い。ホントに便利です。
燃費は満タン方式で計測すると、一般道で18.5km/㍑、高速道路(90km平均速度)17.5km/㍑でした。タンクは満タンで19㍑入る(内予備は3.5ℓ)ので警告ランプが点く前に、230kmは無給油で走れるようです。

道の駅やサービスエリアでこの車を見た人は「ノスタルジックで親しみやすいね」「サイドカーらしいサイドカーだね」と評判でした。およそ800kmほどの試乗でしたが、癖も無く素直で乗りやすいサイドカーという印象でした。このサイドカーが軽自動車程度の価格で買えるのですから、初心者にもベテランにもお勧めです。
営業担当 野地幸雄 090-3148-3044
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